村祭と従妹/イナエ
 
祭り太鼓の音があちこちの集落から
田面に流れ出すと
こどもたちたちは宿題も魚取りもすっかり忘れて
祭半纏をはおって祭宿に駆けつけ 
出迎える獅子頭を連れ出して
集落内を練り歩く 

ぼくの家には叔母に連れられて従妹が 
冒険小説やトランプゲームなどと一緒に
街の華やかな風を運んでくる 
そして祭半纏を着た弟と
一緒に出かけていくのだ

ぼくは竈の前にたてた火箸に磔になり 
芋とか栗とか畑や山が産んだ食べ物を
釜ゆでにする 

籾殻の火は消え易い 
継ぎ足しつぎたし火をつなぐ
消えそうなとき火吹き竹で息を吹きかけ 
燃え上がらせる
すると火の中に山車が現れる
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