ビバ、老眼!/夏美かをる
ふ〜〜っと手のひらから宙へと飛ばしてみる
やがてそれは誰かの心にちゃっかり不時着するかもしれないし
別の誰かに弾き返されて孤独な漂流を始めるかもしれない
或いは 誰の心にも引っかからず、かすることさえなく
悠々自適の旅を呑気に続ける事になるかもしれない
それでも じたばた やきもき はらはらせずに
どんなエピローグでもしかと受け止める覚悟で
小さな地球の気ままで壮大なオデッセイを
老眼に蝕まれたこの目で追える限り追う
老眼的ピントがこりゃまたちょうど良い
半世紀生きて老眼になることにも
ちゃんと意味があるってもんだ
詩を書く者にとってはね!
ちっとも悪くないぞ、
老眼!
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