あの日歌舞伎町で/番田
の子を選ばせてくれた
そして指定の時間を短くされたようだった
店の前で 待っていた
私と似たような年齢の男二人が 後ろにいた
そして ナヨナヨとした 体つきだった
女の子が 暗がりから 幽霊みたいにやってきて
立っていた 私の手を引いていった
また彼女に会うことは無いのかも知れないが
考えている 今頃どこでどうしているのかを たまに
見てくれだけは 悪くなかった 彼女は
なんとなく動きが疲れた感じの子だった
私と同じくらいの歳だったのかもしれない
あの日 彼女は 「選んでくれてありがとう」と言った
私は店を出ると少しだけ悲しい気分になっていた
そして横断歩道の前で 鏡に映る彼女の横顔を 思い出していた
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