海を渡る狼/竹森
白い狼は地平線に消えていった・・・
僕は本物の神秘を前にして
自分の死すらも もはや完全に 忘れ果てていた
星の一種? いや、星よりも遥かに近かった。
錯視? いや、それにしては余りにリアル過ぎた。
ただ、僕は僕のゴツゴツとした顎鬚を撫でれば
今でもその姿をハッキリと思い出す事ができる
独り海を行くその姿は とても頼もしくて、
辛くても もう少しだけ生きてみようかなと、
そう 僕に 思わせてくれて・・・。
空と海が溶け合う地平線は
当の空と海にとっては 存在しないもの
見るモノが見たら
僕と 海を渡る狼も
思いがけない どこかで
繋がっている の かも しれ ない
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