新緑と貴方に添いながら/暁 文目
柔らかな陽射しなのだと気付くのは 木の色合いが桃色終わり
緑へと移り変わった頃のこと 眩しさに目を細めていても
自ずから綻ぶような微熱持ち でも今迄は、それを知らずに
新しく心の内に現れたソレに 何故だか似ているのだと
思っては、だからこそだと目を伏せる 誘い出された、その余韻まで
去年を繰り返してるだけなのに 今年は私、そう見えないと
照らすよう陽射しが届き 爽やかな風が脈を打つよう凪いで
これからを期待するのも悪くない そう軽やかに思えてしまう
いつもなら 見頃過ぎれば 視界から流れ行く四季 留まり続け
葉桜を、慣れぬ言葉を持ち出して 重ねるように記憶を作る
不意に目を止めたからだ、と悔しがる そうなるように図られたんだ
ひっそりと来る春を待つ、穏やかな育ちの時を共に行くよう
これでまた 貴方に秘める思い出が、言えない事が、出来てしまった
焦っても 歩調だけは乱さずに、悟られるのも怖がりながら
作成日:2015年1月26日〜2015年1月27日
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