北限の海女(岩手県久慈市)〜その瞳をみていたら〜より/黒木アン
 
られ

無駄口は利かず
サケの大漁に
沫雪は日に溶けていく


番屋からみえる
白い煙は
くわえた煙草と
白い息
冬天の
ほのひかる海に
ウミネコの原を
見渡しながら

まっているのは
小女子茹でと
あかまんまを
たゆむたのしみ


襖をひいて
羽織をだして
土間にいる
母ちゃんの肩に
ひっかけてやりました


南部鉄器の音がついた
釣り忍ぶが
吊るされるころ

小袖の海女が
また
もぐりはじめるのです
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