カエル夭折/イナエ
空き瓶収集所まで行く途中に
今年始めてみたカエルは仰向け
四肢を広げて道の真ん中に一匹
こちらの路肩とあちらの路肩にも一匹と
まだ冬の残る雨に濡れている
暖かい日が二・三日続いて
冬眠から覚めたばかりだろう
ウーパールーパーのような
はだかのパンダのような
ピンクのカエル
猫に襲われたのだろうか
車に押しつぶされたほどの傷みも無く
白い腹を見せ
冬眠の目覚めが悪く
天敵のいる現実が夢の中だったのか
開く前の桜の蕾を見上げ
これから始まる青春の期待に浮かれて
ふらふらと歩いていたのか
ぽつぽつと芽吹き始めた草地まで
数十センチの距離を残して
春先の冷たさ残る雨の中に
2015年3月19日
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