群像/飯沼ふるい
 
録です。

ベクトルとは常に一定とは限りません。幽霊のようにふわふわと彷徨うクォンタムとメランコリィとミィムとにより、それは湾曲し、正道を征き、あるいは拗ねたり、反発したりもするのです。
黄金に輝くアジア象の夢から生まれ、砕かれた林檎のような女陰が咲き乱れる沼へと注がれるように、
皆さんや、皆さんがご覧になっておられる教科書の綴じ紐や、この詩というくだらない言語遊戯の構造上「私」と語られるべき、この私も、
歴史と重力との網状のスペクトルをすり抜け、十一月の大西洋に人知れず舞い落ちる白雪になり得るのです。えぇ、そうです、おっしゃるとおりですので、私の話を聞きなさい。





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