おとぎばなし/為平 澪
 
子は宝」、でした。 
けれど、平成二十七年。 
祖母が死んで幾十年が経ち、おやつ、おやつ、と、 
祖母の着物の裾を引っ張っていた父すら、世の中に追いやられていき、 
とうとう寝込んでしまえば、無視できなくなった、 
シャカイ、とか、シソウ、とか、ヨロン、とか、セイジ、とか、、、、。 
介護保険を支払っているから、とか、よりも、ガイコクジンヘルパーを雇用しても、 
人数が足りない老人大国、日本の国の片隅で、私の家は病院通い。 
 入院しても看護婦さんが、ツレナイのは、お金を握らせてないからだと、 
どこぞの高級ホステスか倶楽部に通うかのように、錯覚していく父。 
いい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)