父よ/りゅうのあくび
純粋に否定するだけの仕事が
人間として生きることだとしても
病を治すことだったとしても
ひとつずつの命は
ひとつずつの愛によってのみ
守られていくのだろう
自分の本当に代わりになる人間は
結局のところいないのだろう
ただ僕は
誰もが幸せに長生きして
欲しいだけだったのだから
父と起業したのだけれども
再び一緒に働けて
良かったのだろう
きっとノンバンクから
借りるのはもう最後なのだろう
婚約した彼女の病が
良くなってくれることを
今は祈るし
看病し続けるだろう
老い先短い
父の未来より
ずっと大切な約束なんだよ
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