ニンゲンのはじまりとおわりについて/大覚アキラ
っていった
細切れになった狭い世界と世界を行き来して
その境界を通り抜けるたびに
ニンゲンは強烈な快感を覚えた
夢中になって行き来しているうちに
嘔吐はおさまったが
それに伴って
ニンゲンの頭と陰部はどんどん肥大していった
やがて
ニンゲンの頭と陰部は
身体の他の部分よりもはるかに膨れ上がり
その重さで身動きが取れなくなってしまった
いつの間にかニンゲンはニンゲンではなくなり
あとに残ったのは
ブヨブヨした薄桃色の頭と陰部だけだった
腐臭に引き寄せられ
名もない虫どもが集まって
腐り始めた頭と陰部に卵を産みつけた
その卵から孵ったのは
次の
アダムとイヴだった
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