自転車に乗って/梅昆布茶
 
工面してくれたもので
永らく僕のたいせつな冒険の足で在り続けた

地上を旅するならば二足歩行で十分だが
地平線に焦がれるならば一日は短すぎて
追いつかない明日に追いつけると思い込み
その為のこころの速力が欲しかっただけなのだ

今日も自転車に乗って会社に行く
速力は風よりも遅い

年月という負債と一緒に走っているからなのか
あるいは置いて行かれることに慣れてしまったのか

でもそれは直立二足歩行を
やさしく無言で援護してくれる
素敵なな乗り物

今でも思考の速度と動作がおそくなった僕の
ちょっと軋んだ盟友でもある







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