Tシャツ/オダ カズヒコ
良さを懇々とぼくに説いた
そこで握手し分かれたきりのある日の3年目
マンションの隣室で男女が言い争っている声がした
ドアがガンっと開き もの凄い音がしたので表へ出た
水色のワンピースの可憐な少女にグーでのされ
ぐったりとテラコッタタイルの床に横たわっているクマがそこに居た
ぼくは少女に訊いた「どうしたんですか?」
彼女は凄い目でぼくを見た
そしてバン!っとドアを閉め部屋の中に入ってしまった
ぼくはクマを背中に担いで自分の部屋に入った
ソファーに担ぎ上げると
ぐったりと力の抜けきったクマの体はいやに重たく感じられた
200kgはあるだろうか?
腹の周りのお肉がぶよぶよで
どうみてもメタボ?って感じだった
クマが目を覚ましたのは翌朝だった
ぼくらは
テーブルを挟んで朝食を摂った
トマトとレタスにゆで卵 そしてトーストに牛乳
ぼくはクマに言った
「そのTシャツ、少し小さいね」
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