卒業/葉leaf
 
に自らの怠慢を見出し、あたかも年老いていないかのように、演ずるまでもなく自然に振る舞えてしまう。私は高校を卒業したとき、誰よりもあなたを卒業したつもりだったが、そもそもあなたは人間の原点、その湧き立つ生命の理念化のような存在なので、何度も何度もあなたに立ち返っては自らの服装を変えていったのだ。あなたは人間の原点でありながら絶えず移動するので、そこに照らし出される私の崩れかけた姿はいつでも違った部分を崩れさせている。あなたからは決して卒業できないという不動の真実に気づいたという意味で、私はあなたに一つの卒業を与える。

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