あしたの風/梅昆布茶
 
いつかは捨てなければならないものたち
おもいではすでにどの街にも
棲みついてはいないのだろう
もう昔々あるところにはだれもいない

ものの変化を過去というならば
いいかげんな記憶のなかから
都合のよいものだけをおもいでにしてきた

過去をつねに失いつつ未来はほら
すぐとなりに立っている

だから混乱してはいけないとおもう
自分がつかむべきものをまちがえないように

そしてかわりに捨てるべきものを
きちんとみきわめること

たぶん現在というものには体積がない
うすっぺらにみえる一瞬に
すべてがあるのだ

いまじぶんが手で触れる瞬間
あらゆる起点と終点がそこにあるなら

そこで明日という風をつくる
昨日というものを慈しむ

そんなふうに
生きて行きたいだけなのだ


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