屋上庭園(台本版)/細川ゆかり
・・・嘘、だろ」
男、給水塔によじ登る。
少女のくつがある。拾い上げる。あたりをさがす。少女は居ない。
男、給水塔の上で自分もくつをぬぐ。少女のくつと並べる。
男、給水塔からダイブしようとする、が、少女のくつを蹴飛ばして、留まる。
男 「・・・・・・は、はは、はははは」
男、自嘲的ではないが悲しい笑い。
男、給水塔から屋上へ着地。
ベンチに横になり、空を見上げる。目を閉じる。
どこからともなく鼻歌が聞こえる。
少女が屋上庭園に現れる。はだし。男をみる。
男は少女に気付かない。
少女、男にキス。と同時に、花を渡す。
少女、去る。
男、目を覚ます。
男 「ヤベッ!!」
男、あわてて身支度を整える。花に気付く。
男、しげしげと花を見つめるが、よくわからない。
いつのまにかそんな男を少女が見ている。
男、とりあえず花を背広の胸ポケットに挿す。
男 「まーた課長に怒鳴られるよ・・・」
男、屋上庭園を出て行く。
少女、鼻歌をうたいながらあそびだす。
暗転。
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