A sheep flies/猫の耳
 
」
「現実なんてそんなもんですよ」
 羊は大きな欠伸をして、空を仰ぎ呟いた。
「いい天気ですよ」
 私も空を仰いだ。
 突き抜けるような青い空、眩しい日差し、プカプカ浮かぶ白い雲。
「いい天気だね」
 私がそう言うと、羊は笑った。羊って笑うんだ?
「きっといい事ありますよ」
「そうかな?」
「そういうもんですよ」
 それから羊はもそもそと身体を動かし、
 厚い毛皮をスルスルと脱ぐと、身体を振った。
「あーすっきりした」
 私は目を丸くして驚いた。毛皮を脱いだ羊は何だか奇妙だ。
「寒くないの?」
「うーん若干」
 それから羊はその毛皮を、私にポンと投げてよこした
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