A sheep flies/猫の耳
 
した。
「あげます」
「え?何で?」
「あなたが寒そうだからですよ」
 毛皮に顔を近づけると、何だか匂う。…獣臭というか、明らかに動物の臭い。
 そうだね。羊って動物なんだもの。
「臭いよ」
「贅沢言わない」
「でも、暖かい」
「でしょう?」
 羊はまた笑った。それからくしゃみを一つした。
「大丈夫?」
「ええまあ…そろそろ帰ります」
「どこへ?動物園?」
「まさか…」
 羊はその場で助走をつけると、ドコドコと音を立てながら、
 そのまま空へと駆け上がった。
 そして、浮かぶ雲の中に、頭からポンと突っ込んでいってしまった。
 残された私は、貰った毛皮を肩に羽織った。
 あっお礼を言うの忘れてたね。
「どうもありがとう…でもやっぱり、臭いよ…」
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