初空のゆめ/木屋 亞万
信心深く生きるために区切りというのはどうしても必要らしい
まっとうな人生を歩み悪路へと道を踏み外していかないように
平凡に思えて価値を見失いがちな日常に対する審美眼の濁りを洗い流すために
平穏無事に過ぎ去ったものごとに感謝しこれから新たに始まり直す日々の無事を祈る
一区切りを迎えるに当たり
少しずつ蓄積された汚れを取りのぞき
いつの間にか終わっていった物事に思いを馳せ
今まで接点のあった人々との関係を少し緩めて温めて
忘れるべきものは忘れ
捨ててはならないものは大事に保存し
来るべき新しいものを受け入れる準備をする
恋に落ちる時
いつだってそれは初恋である
あの人
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