エクソダス/梅昆布茶
 
いつもおもってた
脱出しようかと

ちいさな小舟を手に入れたら
天候をみはからいながら
島伝いにたどって行こう

風を感じ雲の流れにのって
星が堕ちてゆくところまで

落雷のように明滅する瞬間を縫って
ただ在るもののかたちに逢いに行くのだ

いまさら自分をさがすわけでもない
懐かしい廃屋のひそやかさを

モルフォ蝶が水と日陰をもとめて息む昼下がりに
自分の中の喧騒を消し去りたいとおもうだけなのだ

死ぬわけでもない生きるわけでもない
中庸がかたちをとるならばあるいは

道の真ん中にある紅いポストのように
ただ佇んでいるに違いない

いのちを繋ぐもの
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