五円玉の首飾り/
ドクダミ五十号
駆け落ちをした女と男は
首飾りを持っていた
その日の米に困る
そんな彼等に残された最後の手段であった
女に恥をかかすまい
男は恥を忍んで個人商店に
つけがきく
でもたまっていた
すごく重い首飾り
強固なタコ糸さえちぎれると思われる
青白く如何にも死にそうな男が
すいません
これでお米を
優しい時代だったと昭和を言う
味噌と野蒜を乗せた
白いごはん
五円玉の首飾りの重みは
命をつないだ
実に強く
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