冬が来た/
Lucy
あたしはすごく疲れてしまって
家までたどり着けるのかひそかに心配で
空気はきんきんに冷えていて
闇を泳ぐようにふらふら歩けば
月が煌々と夜空を照らしているんだった
なのに街灯の明かりの下では
羽虫のような雪が舞う
冬だね
冬が来たんだね
もうこのまんまどこまでも
夜を泳いでいきそうだ
長かった秋の
煮え切らない淋しさなんて
結晶になって
きらきらして
明日の朝には
レンガの歩道に張り付き
根雪の最初の地塗りになる
戻る
編
削
Point
(16)