そのとき光の旅がはじまる/yo-yo
闇の速度に夢は追いつけない
あてのない光の旅だった
冷たくて丸い
ビー玉の小さな光を追いかけ
やがてガラスの遊びに飽きたら
山を越える決心をする
錆びた線路の向こうに
人々が立っていた
発車のベルが鳴って
ぼくはその時を知った
始まりの時ではなく
終わりの時でもなかった
時と時が連結する
鉄と風が連結する
今日と明日が連結する
そして出発進行
古い線路と新しい線路が連結する
古い音と新しい音が連結する
鉄と風が響きあうように
誰かが
ぼくの冷たい耳をノックする
ガラスのドアが回転する
光がとび出して
新しい旅がはじまる
おばあちゃんの駅は
いまではもう無人駅だよ
ビー玉の列車も
あっという間に通りすぎてしまうんだよ
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