百獣/千波 一也
ぼる獣とむくなる獣
すべて
滞りなく滞って
余すところなく余して
百獣は呼ぶ
すべて
揺るぎなく揺らいで
寄る辺なきを寄る辺として
百獣は呼ぶ
すべて
予定どおりにひと粒ずつの
大いなる混沌の一瞬のその百獣を
百獣は呼ぶ
へつらう獣とむれなす獣
ただしい獣とむなしい獣
永遠の淵に隙間に奥底に
百獣は在る
まばゆい獣としずかな獣
にごれる獣とすなおな獣
軸と軸とが交わって
虚無と虚無とが交わって
生まれつづける滅びの王座に
百獣は在る
とらえる獣とかこいの獣
けだかき獣とかよわき獣
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