ひずみ/左屋百色
 

死んでも思うなよ、
こんな午後は情報を遮断して
もう変身できない昆虫に手紙を書く
殺してください
自意識の楽譜を舐めると
演奏が止まります
その前に殺してください
夕焼けが戦車を照らし
環境が死ぬ。色彩が死ぬ。
想像していた街が死ぬ。
冷蔵庫の中にバイオリンを入れて
私は生き返ります
それしか方法を知らないし
魚も肉も腐るだけ
本当の意味で
世界中の詩に包まれたいし
だけど現実にはいつも
私の詩集だけが死ぬ。
一枚一枚、
丁寧に焼かれ死んでゆくけど
哲学が野菜と革命を起こし
薬品が売れる仕組み
(意味わかるでしょ?
弦が切れて素晴らしい音色が
大陸に響きわたる
錠剤は透明な味
画鋲のような星が降る夜に
正しい事をアンプに通したいだけ
死ねばいいのになんて
本当は言いたくないんだ
優しくなりたいし
優しく貫通されたい
大陸で、
(意味がなくなったでしょ?
さようならさようならさようなら、
浮かび上がる情景
未来などない
あるのは現代のみ、
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