蝿よ/小川 葉
 


蝿よ
そんなに酒が飲みたかったのか

その小さな体で
グラスの焼酎を
飲めるとでも思ったのか
かつて君が人間だった頃のように

蝿よ
君はもう人間ではなかった
そんなことは
知っていての行為だったのだろう
それはよくわかる

蝿よ
酒は飲むものだ
飲まれてしまえば
人間でさえ溺れてしまい
死ぬことだってあるのだ

なのに蝿は
その小さな体で
私の焼酎グラスに飛びこみ
そうして死んだ

蝿よ
私もいつか蝿に生まれ変わったら
同じことをするであろう

蝿よ!


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