ヒール/ドクダミ五十号
 
貴女は高いヒールだっだ
私はスリップオンだよ
背伸びが嫌いでね
でもさ唇の地面からの高さが
ほぼ等しくなる
好ましい組み合わせかもしれない

路地裏で抱きしめて
唇を合わせる時に
ぽきりと折れたヒール
キッスは終わりさ

其れで良かったのかもしれない
彼女はローファーに変えた
アイビースタイルだとさ
私は膝を曲げるか
腰を折るかして
彼女の唇に近づく必要が出来た

地に足が着いた付き合いに近い
つま先が触れ合い互いの違いを知る
そうして親密な交合が始まるのだ

今は孤独だが
高いヒールを見ると
ぽきりと折れれば良いのになあと
病院通いの駅の階段に杖を突き思う

虚勢を張るのも大変だ
貴女はそのままで充分美しいのに
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