アルモニカ/nonya
 
ねて
大木は押し黙る

いつまでも蒼褪めたままの
常緑樹林の只中で




「似」

遠い日の
他人の空似は
スペアミントの香り

蛙の子は
気取ってみたところで
モリアオガエル

水溜りの底には
空から零れ落ちた
金太郎飴達

知ったかぶりの
後ろの正面
ドッペルゲンガー




「果」

幼い頃
転んで落とした種は
酸っぱい果実になった

若い頃
指の間から零れた種は
ほろ苦い果実になった

先頃
行儀良く並べた種は
うすら甘い果実になった

毎日蒔いて
毎日採る
そんな繰り返しが果てまで続く





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