「メビウス」/桐ヶ谷忍
 
のか
俯瞰図がほしいと
何度願った事だろう

つるりとした白く続く廊下を
どこまで行けば
誰かに出会えるだろうか
どこまで歩めば
出口が見出せるだろうか

そもそも出口はあるのかないのか
あるとすればどこに出られるのか
何より

なぜ私はこんな所を歩いているのか

ともかくも
私は独りだったし
今も独りだ

歩きすぎて擦り切れた血の足跡を残しながら
私は、もうどうしようもなく

絶叫した

その声すら、まだまだ続く廊下に吸い込まれていった

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