あの日のブタと/オダ カズヒコ
ぼくは車のドアをバンと叩きつけ
ブタを引きずり出し
グゥーで2、3発殴ると
ブタはアスファルトの上にだらしなくのめりこんだ
止めの一発に蹴りを入れてやると
ぼくは素早く車に乗り込み
ブルンってエンジンをかけた
なかなかいいパンチだったぜ
お前むかし格闘技とか習ってただろ
振り返るとまたブタが擦り切れた顔から鼻血を出したまま
例のパラソルを立て 後部座席に座ってぼくの顔をじっと見ている
何が欲しいんだ?
ぼくは呆れて彼にいった
できれば 愛とか?へへっ
ブタはまた下品に笑った
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