神様とぼく/イナエ
じっと見つめる白いディスプレイ
画面の深淵に広がる混沌
ぼんやりとした影がふるえているのだが
コーヒーを一口 指先で机を叩き
たばこを一本 目を閉じ頭に爪を立て
五分 十分・・・
一瞬 影がうねり 色がはねて
だが マウスに右手を載せる間もなく
混沌に沈んでしまう
混沌にひらめくものはいったいどこから現れるのだろう
「詩の最初の一行は神様が下さる」
と言ったのはだれだっけ
オレが神様を捨たのは
生意気盛りの中学生の時だった
その頃家は貧乏で
おにぎり二つが作れなくて
遠足を休まされた
その日
鎮守の神様の管理人がやってきて
不貞寝し
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