もう何年も、使う場所が見つけられない言葉の行方/楽歌
黄昏の色が、夕餉の匂いを運んでくる
なんていうのは幻想だ、と
自虐的に嗤った、君の傍らに残滓
裏庭で枇杷が泣いた
西日に裏切られた大地で
橙色の反乱
もういちど、と
ひとさしゆびがつぶやいて
さそう、やくたたずのままの、それ
いきを、息を、わすれていたかのように
血流、とり戻す、在り方
カーテンの向こう側で
誰かがさようならを告げて
意味すら忘れてしまいそうな、
おかえりを
さがすように
白さを増していく、君の内腿。
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