東方見聞録/
やまうちあつし
水の都を出発したのは
十五の頃
父と叔父に連れられて
大量の宝石を買い込み
船に乗り込んだ
タルタル人の庇護のもと
海峡を渡る蝶を見ながら
砂漠を越えた
王は大いに感心する
髭を撫でながら
百人の賢者を迎えるように
異国の旅人を歓待し
ご満悦の体
両隣には盲目の美女
寝室には
あらゆる異教の
神々の像
王は遠い目をして
通達をする
おぬしらは祖国へ帰れ
聖なる油と
どこまでも行ける手形を授け
また
髭を撫でた
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