ぼくの優しい友人/浩一
 
けれども彼は いつでもいいよ
と言ってくれた
だけども彼は
ある種の酒乱でもあった
アルコールの量がある閾値をこえると

ねちねちごりごり
げりげりむちむち
ぼくの自我が崩壊するまで攻撃の手をやめない
だからその日も
彼の手が6本目のロング缶に伸びようとすると
はいこれでお開きお開き!

酩酊ぎみの彼を助手席に乗せ
ハンドルを握れば主導権はこちらに移る
下戸のぼくが彼の送迎役なのだ

道路のうえには夕闇が落ちていた
一台のライトバンがぼくらを追い越していった
ぼくは軽いジョークで空気をつなぐ

「じぁあこれから君の家への近道を通りまあす
 君を無事にお家まで送り届けるために
 バイアスのかかったぼくがバイパスを通りまあす!」

道路のうえには夕闇が落ちていた
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