ノイズ/塔野夏子
 
僕は逃れようがない
苛立ちを抱えつづけたまま
けれど馬鹿馬鹿しいほど綺麗な夢を見つづけて

ノイズ
ノイズ
ノイズ
のただ中に僕は僕の輪郭を
あぶり出してゆくよりほかはないのか
ノイズ
ノイズ
ノイズ
を増幅しつづける過剰な神経が
僕を踊らせるままに

     いつのことだったか
     誰からも何からも遠ざかった
     白い静かな場所で
     僕は心穏やかに佇んでいました
     ――そんなイマージュが
       時折意識の遠くに
       ぽっかりと浮かぶのです




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