サカテカスの殺し屋/オダ カズヒコ
それ以外の要求は俺からはしない
それが俺の仕事だからね
さちは 男の顔をじっくりと見ようとした
「一本でんわを入れるから 窓から離れて
立っていてくれ」
男はそういってケータイを取り出し
早口でまくし立てた
「何?」
不穏な空気に さちの背筋は震えた
でんわを終えると男は
ソファーに深々と腰を掛けた
そして葉巻にマッチでボっと火を灯した
「今 ピザを頼んだところだよ
トマトとピクルスは抜いてあるから
心配すんな」
「なんであたしの嫌いなもの知ってるんですか?」
さちがそう言うと
殺し屋は不敵な笑みこぼし
指に挟んだ葉巻を軽く上げてみせた
キューバ産
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