ねこかぶり/藤鈴呼
わたしは 牙で ぎゃあ と 啼く
噛み付いたりは しませんヨ
ベンガルだって わきまえている
飛び付いた 瞬間に
殺されて しまうのですから
ひとにゃん ふたにゃん
可愛い角度で
喉を鳴らして 甘えます
撫ぜる手の
温かさだけ 憶えたら
今度は 優勢
あなたは 雄性
わたしは 郵政民営化
駐車場の 白い雪が
猫の形に 固まって
中まで 入れないの
どんな牙を もってしても
スコップみたいに 掻き出せぬから
雪は 雪
雨みたいには 流れない
絶対に 流されないの
そう 呟いて
邪魔な 着ぐるみ 脱ごうとしたけど
寅年だから 脱げないの
永遠に
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