百鬼繚乱 < 1 >/nonya
果ててしまった僕だけど
どんなに荒ぶろうと
コンクリートのだまし絵の中では
自慢の鎌もすぐに刃こぼれして
もう誰の身体にも心にも
かすり傷ひとつ残せやしない
JOROUGUMO (女郎蜘蛛)
給湯室の天井に
蜘蛛の巣がはったと
みんな騒いでいるけれど
それ わたしの溜息だから
気にしないで欲しい
人間関係って
蜘蛛の巣より厄介
みんな澄ましているけれど
がんじがらめの魂なんて
美味しくなさそうだな
もうそろそろ潮時かも
言い寄る男は多いけれど
糸のような柔らかな嘘を
張り巡らすのにも疲れたし
光る石も朽ちない葉っ
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