◆ Terence T D'arby best selection ◆/鈴木妙
 
なのだけれど、現在それは重要ではなく、ぼくたちはもう思考をスタートさせないといけないのかもしれなかった。つまり、なぜここがはじまりなのか。
「ああ、お二人とも安心してください」
 茜が見透かしたように、
「今回はあくまでこの家の紹介にすぎませんから。クリアに必要な条件は出てきません。純粋なチュートリアルとしてまずこの『応接間』の把握につとめてくださいね」
 とはいえまず急にここへ連れてこられる時点でフェアじゃない。頭上で電車の停車する音、これらもリアルといえばリアルだが、現実で松ノ丘駅を行き来する音と比べてまったく違いがないなんて言えるわけもなかった。電車は新庄駅へ向かって発車し、それで初
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