RAKUEN/
やまうちあつし
目のない鳥が
空を飛び回った。
どこへ行くのか
知らぬまま。
ある時鳥は
楽園に到達していた。
けれどもそれを知ることができず
素通りしてしまった。
豊満な果実も
豊饒な大地も
見ることができなかった。
そして鳥は
太陽に突き刺さった。
なんだか暑いな、
なんて呟きながら。
太陽の中心まで達すると
鳥は湯気になり
ようやく解放された。
太陽はうう、と唸って
海の向こうへ沈み
夜がやって来た。
夜は鳥へのお礼に
その姿を星で描いた。
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