近眼天使/やまうちあつし
 
天使は近眼
俺がどんな表情をしているか
見えていないのさ
同僚の悪口を言うとき
明日への怯えを口にするとき
どんなに醜い顔をしているか
天使はだまってこちらを見ている
そしてふくろをがさがさまさぐり
自分が食べていた星屑を
たべる?
なんて差し出してくる
俺はこの世の
眼鏡を一つ残らず叩き割る
悪い大人がいつ
この子に眼鏡を
買い与えてしまわぬとも限らない
そんなことが起こらぬように
遠大な計画を立てる
俺を一人にしないでくれ
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