天国が火事/
やまうちあつし
天国が火事
放火魔は長い足で
山脈を跨ぎ逃走した
雲の上が赤々と燃えて
天使らはなすすべもなく
もだえている
白い裸体から
滴り落ちる汗、汗
まるでとろける
蝋のように
地上から空を仰いで
驚愕していた村人たちも
熱気にあてられ
火照ったからか
衣服を脱ぎ始める
地上も
火事
狼少年は言う、
「天国が落ちてきたんだ」
いつまでも
燃え続けた
反歌
天国はこのように、地上に侵攻する
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