ささやきを連れて/千波 一也
 


わたしの耳には
蔑む声が棲んでいる

わたしの耳には
嘲る声が棲んでいる

だから、気をつけて

わたしは素直に
言葉を受けとめられない

偽りを抱いて微笑むこともある
喜びを否定して悲嘆することもある

ほかの誰にも聞こえない
ささやきを連れて
わたしはわたし

たぶん、あなたも

わたしには聞こえない
ささやきを連れて

そこに
あなた、として佇んでいる







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