職人とブタ/オダ カズヒコ
 
んだ

「不可逆的で絶望的で 世界との繋がりに遮断された断絶
 死の観念だけが残り 意思や感情が 完全に消えうせ
 信仰や疑いすらもない つまりそいつを俺に ”溶接”
 しろってことかい?」

僕はゆっくりとブタをコンクリートの上に下ろした
そしてブタの体に
愛や真実が この工場の中で
溶接され 溶かしこまれていく様を

深夜の2時頃に至るまで
横で一緒に 付きっ切りで見守っていた

仕事を終えた職人の男は
「明日の朝
 こいつが ブタが目を覚ますまで
 俺たちも少し眠ろう」

彼はうす汚れた軍手をギュッと脱ぎ捨てながら
こちらに顔や目さえ向けずに
僕にそう言い放った
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