花火の夜/AB(なかほど)
 
んの顔で
ふと見えたその横顔の一点
の中に
初めての東京の夏が吸い込まれてゆく
それからいくつかの
夕焼けと夜の
運河沿い
ちゃぽん ちゃぱん
とコンクリートに
初夏の波
君は手すりにもたれながら
僕が乗り込んだ
モノレールの車輪を
目で追いかけていた
その行く先には
今の僕の帰る場所
があって
そこには
抱きしめるものができました
それが君ではないことが
たぶん僕にとっても
もちろん君にとっても
幸せなのでしょう
君の抱きしめるもの達が
それがいつのまにか
君の全てを包みこむ
そのとき
その心の中から
僕の全てのことは消えて無くなってしまえ
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