餓え/
為平 澪
まう
酷い吐き気と共に 眩暈の淵から涙が溢れ
そこから沢山の鮎が 逃げてゆく
(あの魚が食べたいのに・・・。)
殺されたモノたちの怒りに祟られた 私の腹からは
茫漠とした砂漠に 打ち捨てられた
白目を向いた魚しか 出てこなかった
ビリビリと音を立て 破り捨てる
黒と赤の数字の狭間の青の中を
春の記号に乗って
一匹の大魚が 悠々と目の前を昇ってゆく
私は世界一豊かな国にいて
灼熱直下のコインロッカーの中で
大きな腹を抱えては 今日も餓死を強いられる
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