ナニカ/草野大悟2
だね。優太君やしのぶちゃんには何の責任もないのに」
優太としのぶは、顔を見合わせて初めてにっこり笑った。
「さて、皆さんにはつらい事になるかもしれませんが、これまでの経緯と行われている体罰やいじめに関して、野津さんの参考人調書とお子さん達の被害申立書を作成させて頂いてよろしいでしょうか?」
「お願いします。あたし、全然平気です」野津が答える前にしのぶが返事してぴょこんとショートカットの頭を下げた。倉岡は思わず微笑んだ。
「僕からも、ぜひお願いします」優太も頭を下げた。野津は倉岡を見つめて大きく頷いた。
倉岡は、優太としのぶの被害申立書作成には、この種事案を扱い慣れている婦警二人を当て
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