ナニカ/草野大悟2
 
、お父さんにも助けて貰おうか、って言ってたよ」
「そうか、優太が、そうか」
 野津は、小躍りしたい気持ちを押さえ、夕食が終わって二階に上がろうとする二人に話しかけた。
「優太、しのぶから聞いたけど、父さんも一緒に闘っていいのか? 父さんほんとにおまえ達の力になりたい」優太の返事はなかった。二人は必ず一緒に闘おうと言ってくれる、言って欲しい。三人でいじめと闘って、二人を元どおりの暮らしに戻してやることが父親としての責任だ、野津はそう強く思った。
 野津の一途な気持ちが、優太としのぶの心をゆっくりと溶かしていった。
 夕食後リビングのソファに座って新聞を読んでいた野津に、「父さん話があるんだ
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