ナニカ/草野大悟2
 
しくそうねだった。野津が二つ返事で承諾すると、「やったー」飛び上がって喜んだ。こうしてしのぶは、四歳で家の近くにあった極真空手の道場に通うようになった。
 三歳になったばかりのころ、野津と付近の公園に出かけた優太は、サッカーの練習を興味深そうにじっと見つめていた。そして、いきなりグランドの中へと走り出し、サッカーボールを拾ってニコニコしながら戻ってきた。野津が、ボールを返すようにいくら言っても、言う事を聞かなかった。優太が野津の言いつけに従わないなど初めてのことだった。その様子を笑いながら見ていた監督が、クラブへの加入を勧めた。それ以来、優太はひたすらサッカーボールを追いかけている。
 毎日が
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