零ふたり/
凍月
う言って再び回った
「人は独りだっていう真実を、君といる時だけは忘れられる」
「君といられる間だけは、私は私でいられるの」
月の孤独が二人を抱く
それぞれの孤独がそれぞれを包む
暑い夜に出会う冷たい体温
お互いの命を確かめ合うのが
僕と君との素敵な儀式
悲しい夜に溶けてゆく二人
悲しい夜に溶けてゆく独り
悲しい夜に溶けてゆく雫
悲しい夜に溶けてゆく零
月下
もう何の音もしない夜
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